浜名湖花博で作成された植物標本

杉野 孝雄

最終更新日:2007年9月20日


 本会が委託を受けて実施した、「浜名湖花博出展植物保存事業」で作成された植物標本は、元浜名湖花博会場内のガーデンパーク建設室事務所で、2月9日、池谷理事長が出席されて、静岡県企画部との間で引渡しが行われました。

 標本は押し葉標本にして4,510点、1種類5点を目標に作成されているので、これを2分して、30種類ずつビニール袋に入れ、茶箱12箱に保存してあります。標本は学術的に分類して通し番号を付け、一覧表にまとめてあるので、利用する時は容易に目的の標本が引き出せます。

 台紙に貼り完成標本にしたのは110点、残りは新聞紙半折りにした間にはさんで保存してあるので,今後,完成標本にしていくことが必要です。

 作成された植物標本については別途紹介する予定ですが、そのいくつかを紹介します。先ずはバオパブの花の標本が作成できたことです。オーストラリア産のグレゴリー種は、日本では野外で開花した例はないようです。4月当初は葉もなく心配されましたが、葉を広げ、8月14日20時24分に開花しました。その後も花が咲き続けたので、それを標本にすることができました。バオパブの花の標本は、日本にはあまりないと思われます。

 植物の分布は北半球と南半球とでは大きく異なり、南半球には科属で日本では見られない種類が多数あります。バンクシア、メラレウカなど南半球特有の科属の植物を、50種類ほど標本にすることが出来ました。その他、原種で日本に分布しない種類。日本に自生するヒメバラモミ、トガサワラなど貴重な植物も標本にしました。

 園芸植物として作出された園芸品種、これが標本の大多数を占めています。遺伝の知識も乏しい江戸時代に、遺伝の原理を応用して日本で独自に発達した、珍しい変化アサガオは15種類を標本にしました。園芸植物にバイオテクノロジーを導入して作出されたバイオコスモスの標本。薬用植物、香料植物、果樹など、出展された様々な植物を標本にしてあります。

 花博が開催されたことで見ることの出来た植物を、さらに標本として実物を保存することで、永久に利用できるようになった意義は大きいと思います。

 作成された植物標本は6月5日に開園が予定されている「浜名湖ガーデンパーク」で展示されるなど活用が期待されます。

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登録日:2007年9月20日


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