図書紹介


最終更新日:2004年6月26日


地球生物学
地球生物学
地球と生命の進化

池谷仙之・北里 洋 著
東京大学出版会 228ページ 3000円
 地球科学、特に地史学の分野で、一般向けまたは大学での基礎学習に活用できるよい教科書が最近ないことに私は悩んでいましたが、この本はその私の悩みを解消してくれるものになりました。

 この本は、現在は法人化のため改組されてなくなったものの、地球と生物を融合した分野として、1995年に創設された静岡大学理学部生物地球環境学科の創設理念にしたがってつくられています。内容は、著者たちの学科での入門的な授業科目といくつかの専門科目の講義録が下敷きとなっているためか、地球と生命の歴史やそのかかわりについて、語りかけてくるような印象で、たいへんわかりやすく書かれています。

 各章に配置されているBox(かこみ記事)やイラストも楽しく、地球科学や生物の歴史にあまり関心のない方でも、おそらく気楽に読むことができると思います。

 地球科学や生命科学についての最近の研究の進展には目を見張るものがあり、それらを全般的に理解するためにも、お勧めの一冊と言えます。 
(柴 正博)


標本学
標本学
自然史標本の収集と管理
国立科学博物館 編
東海大学出版会 250ページ 2800円
 現在静岡県では自然学習資料保存事業を行っていますが、ちょうどその事業にぴったりな本がそれもタイムリーに出版されました。

 この本では、植物から動物、地学にわたる自然史標本についての、その収集と標本化、さらに保管と管理、登録とデータベース化などについて、実際に博物館でどのように行われているかという実例をもとに、詳しく解説されています。

 各分野の執筆者は、国立科学博物館を中心に他の博物館の研究者や学芸員が担当しています。各分野で収集から標本化、または受入れから登録、標本の保存など、重点をおいて書かれているところはさまざまですが、博物館で保存管理されている標本がどのように収集され、受入れされて、標本になり、さらに登録、管理されているかなど、全体像が十分に理解できます。

 また、それぞれの分野については、その標本化とその管理の詳細がマニュアル的に実際にあわせて解説されていることから、標本を取り扱う者にとってとても役立つものとなっています。

 この本は、自分の専門分野の標本の取り扱いについて再確認するためにも、また他分野の標本の取り扱い方を知るためにも、重要な一冊になると思います。
(柴 正博)


自然史しずおか第5号の目次

自然史しずおかのindexにもどる

Homeにもどる

登録日:2004年6月26日


NPO 静岡県自然史博物館ネットワーク
spmnh.jp
Network for Shizuoka Prefecture Museum of Natural History