自然観察会の報告 御前崎 磯の自然観察会 大貫 貴清 |
3月19日(日)、晴天の中、御前崎「磯の自然観察会」が実施されました。この日は朝9時に静岡駅より出発し、御前崎灯台下駐車場に11時位に集合しました。当日、現地は非常に風が強く、資料なども飛ばされそうで大変でしたが、はじめに駐車場にて説明を行い、磯での採集となりました。この日の干潮は13時44分でしたが、すでに磯は潮が引き始めており所々に潮溜まりが見られました。 まず砂浜にどのようなものが打ちあがっているかを観察しました。砂浜には様々な貝殻や魚などの死骸が打ちあがっていましたが、特筆すべきものとしては殆ど甲羅だけになったウミガメの死骸が打ちあがっていました。御前崎は静岡県下でも有数のウミガメの産卵場となっており、夏にはたくさんのウミガメが砂浜に集まり、産卵をします。当然この沿岸にもウミガメは多く生息していると思われ、それを思わせるような漂着物でした。 その後、実際に磯に入り生物の採集となりましたが、初めにも書いたように風が強く、滑って転ばないよう注意が必要でした。まず目を引いたのは磯の干出した所に見られる黄色い渦巻きのような物体です。渦巻きと言っても立体的なゼリーのようなものが渦を巻いているもので大きさは直径2cmくらいでしょうか。これはカラマツガイと言う貝の卵のうで、このように水面よりも上で産卵が行なわれるようです。この貝は有肺類とよばれる仲間で、皆さんおなじみのカタツムリの仲間と言えば分かりやすいでしょうか。 潮溜まりの中を覗いてみると、アメフラシやムラサキウニ、ホンヤドカリ、ヒライソガニといった生物が動いているのが分かります。少し水深の深い所に網を入れると沢山のエビが入りました。ここで取れたエビはイソスジエビとアシナガモエビという2種類でした。また魚ではアカオビシマハゼというハゼの仲間が多くとれました。 今度は、砂利ごと網ですくってみると、砂利の間に細長い魚が動いているのが分かります。これは、やはりハゼの仲間でコマハゼとオオミミズハゼの若魚でした。また大きな10cm位のウナギを平たくしたような褐色の魚もいます。これはカズナギというギンポに近い魚でした。またアナハゼというカジカに近い魚も採れました。砂浜の砂利の中からはスナホリムシやヨコエビの仲間といった甲殻類も採集する事が出来ました。 既に干上がった岩の間には、イワガニやマツバガイ、数種類のフジツボの仲間も観察できました。またこのの磯は岩盤になっていますが、その岩盤に穴をあけて生活するカモメガイという二枚貝も観察できました。このあたりは、秋口になると黒潮に乗ってやってきた熱帯魚の稚魚も多く見られるようです。ぜひ、転んだりしないよう気をつけながら皆さんも訪れてみてください。 |
自然史しずおか第13号の目次 自然史しずおかのindexにもどる Homeにもどる 登録日:2007年9月20日 NPO 静岡県自然史博物館ネットワーク spmnh.jp Network for Shizuoka Prefecture Museum of Natural History |