カラーコラム 10 |
静岡県の哺乳類(4) モモンガ 三宅 隆 どうしても野生のモモンガに会いたくて、昨年には、ついに八ヶ岳の山小屋にまで登山をして、苦労しながら見に行ったことがあるくらいである。 ところが、今年偶然にも、思いもかけず身近な所でモモンガに出会うことができた。 実は、数年前から静岡市の郊外、静岡駅から井川方面に車で1時間位の山の中に、自前で小さなツリーハウスを建て、自然学習、環境教育の基地(自分の逃避先?)を作ったのである。ヒノキ林の中なのだが、少しずつクヌギやコナラなどの落葉樹に変えていこうという計画で、定年後の生きがいの一つにしている。周辺には野生動物も多く、イノシシ、シカ、カモシカ、リス、ノウサギなどの痕跡もある。昨年末、その小屋の傍の木に、野鳥用に巣箱を架けた。時々シジュウカラが巣箱を覗いていたが、別に何が入っているか気にもしなかった。ところが、今年の5月末、巣箱の入口で何かが動く気配を感じ、双眼鏡で覗くと、大きなモモンガの丸い目が視野に飛び込んできたのである。それから観察が始まった。 6月7日 19:05分、まぎれもなくモモンガが巣箱から顔を出し12分には巣箱から出てヒノキの樹を上にスルスルと登っていった。その後、14分には2頭目が出、すぐに3頭目、4頭目が出てきた。なんとあの小さな巣箱に4頭も入っていたのである。どうりで、巣穴からいつも目だけ確認できた訳が理解できた。下の箱の部分に全部入りきらず、1頭は、入口の所にはみ出していたのだった。 6月11日 19:17分1頭目、18分2頭目が出る。その後モモンガは現れず、結局2頭だけになっていた。残りの2頭は子供で、子別れしたのだろうか? 6月19日 19:22分1頭目、25分2頭目が出る。2頭目は、樹を登り一番上の方から、皮膜を広げて滑空するのが観察できた。 6月28日 時間が経過しても1頭も出てこなかった。ヨタカの声だけが聞こえた。 この日以来姿は見えなくなった。後日巣箱を開けて見ると、巣箱内一杯に、ヒノキの皮となぜか綿花が巣材として使われていた。 今回、偶然にもモモンガと出会え、楽しい時間を過ごすことが出来た。確認できないだけで、以外と身近に生息しているのかもしれない。来年もまた巣箱に入ってくれることを期待している。こうなると欲が出て、次は、すぐ横の渓流でカワネズミにも会ってみたいと思っている。 |
自然史しずおか第10号の目次 自然史しずおかのindexにもどる Homeにもどる 登録日:2007年1月3日 NPO 静岡県自然史博物館ネットワーク spmnh.jp Network for Shizuoka Prefecture Museum of Natural History |