博物館の活動レポート

特別企画展『わくわく恐竜くらべっこ・復元に挑戦』
―神奈川県立生命の星・地球博物館

及川 忠広

発行:2002/03/10


恐竜のたまご 平成14年2月16日より、神奈川県立生命の星・地球博物館において特別企画展「わくわく恐竜くらべっこ・復元に挑戦」が開催された。この企画は、文部科学省委嘱による「親しむ博物館づくり事業」の一環として計画され、神奈川県立生命の星・地球博物館の主催で行われた。

 平成13年の秋に、神奈川県内の学校、地域などに告知され、小学校・中学校・高等学校などのグループによる参加が呼びかけられた。参加者は講演会による学習やインターネット掲示板による情報交換を行い、恐竜について学びながら作品を作って特別展を開催しようというものであった。

恐竜復元をテーマに、東京大学医学部の犬塚則久氏による「恐竜復元〜骨学入門〜」、古生物アーティスト、小田隆氏による「恐竜が描かれるまで」の2回の講演会が実施され、熱心な中学生の「聴講」の姿も印象に残る会となった。

 結果、23グループ、50点もの出展が集まり、特別展示室全体が手作りの恐竜(翼竜・海竜)などでひしめき、親子連れの来館者も歓声をあげる展示会となった。出展内容は多岐に渡り、手練れの中学校教諭による精巧な手本と、それを見習いながら生徒たちが工作に励んだ粘土細工の作品群から、巨大なペーパークラフトとも呼べる、数メーターにも達する作品、天井からテグスで吊られた翼長数メートルの翼竜などである。

 博物館側も、バックヤードに収蔵していた獣脚類、盾竜などの歯や、卵、足跡の化石を展示し、シダ類やソテツ類が繁茂していた当時の森林の「香り」を再現した小屋を設置するなどした。特に人気を集めていたのが、35ミリのフィルム・ケースを2,000個用い、卵の組織モデルを再現した巨大卵の作品であった。子供はもちろん、大人でも身を丸めれば卵殻の中に入れる仕組みになっており、子供たちは自らが恐竜のヒナとして孵化する追体験をして遊んでいた。

 また、木製の骨組みをしっかりと組むことによって子供が乗れるような竜脚類の模型を出展している小学校のグループもあった。私も友の会によるエントリーをサポートし、小・中・高生とその親御さんとのグループ構成で、中国で発見された「羽毛恐竜」の復元に挑戦した。

 今回の企画は、博物館側の学芸員と、出展グループのメンバー同士とがインターネットの掲グループからも工作の技術、作業の進行具合、自分たちで調べてきた情報などを発信しあい、互いにアドバイスをしあったり、コミュニケーションを取りながらそれぞれの作業に励むという仕組みが生まれた。

 示板を用いて情報交換を行っていたことも特色として挙げられる。学芸員からは博物館における催しや、恐竜、工作に関係する情報が発信され、また出報作品を楽しむという姿勢はもちろん歓迎だが、科学的な考証とアピールはどうであるのか、という学芸員のうがった憂慮もあったが、展示会そのものの印象は悪くなく、小さな子供連れの家族が大喜びしている光景を各所で見られた。2月17日には、厚木基地からやってきた米人ガールスカウトのグループもはしゃぎながら見学してゆく光景も見られた。

  


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登録日:2002年3月18日