野外観察・採集会の報告 福井県立恐竜博物館及びその周辺の見学、採集会の報告 |
発行:2001/12/09
森 伸一(静岡県地学会)
昨年の夏、福井県立恐竜博物館が開館しここで恐竜博が開かれたが、都合がつかず見学に行けなかった。30年以上前、大学で手取層群の名前を聞いた時は中生代の植物化石の産地ぐらいの印象しかなかったが、10数年前から恐竜化石がたくさんみつかり、一躍有名になった。手取層群からでる化石を一度みてみたい、そんな思いから自然史博推進協が企画した見学会に参加した。 10月12日(土)朝8時、静岡駅南口に参加者16名が集合、2台の車に分乗して出発した。途中浜名湖と養老のサービスエリアに寄り休憩、12時ごろ北陸道南條サービスエリアで昼食、予定より早く13時半ごろ勝山市の丘の上に恐竜の卵をイメージした銀色のドームが目立つ福井県立恐竜博物館に到着した。 博物館の案内は学芸員の後藤さんが担当してくれた。まず、博物館紹介のビデオを15分ほどみた後、後藤さんの説明をききながら1時間少し館内を見学した。まず受付入り口からエスカレーターにのり下がっていくと、恐竜の骨などを両壁に埋めたダイノストリートに到着しスムーズに恐竜の世界に入り込む。ここを通り抜けると恐竜1体分の実物の骨が埋まったボーンヘッドにつくが、うまく作られすぎているのか実物の化石をみているといった臨場感が涌かず惜しい気がした。 同じフロアーの一画には化石クリーニング室があり、ガラスごしに中での作業の様子をみることができる。骨格標本などを見ながら螺旋階段をのぼって行くと2階につく。このフロアーは生命の歴史のコーナーで生命の発生から人類までの説明が標本、復元模型などで示されているが、恐竜と鳥類の進化の関係が印象に残った。これらを見た後、順路を進んで行くとダイノラボというコーナーにつく。ここではクイズに挑戦したり、恐竜の化石に触れたり楽しむことができる。さらに上にのぼると3階、最初の入り口の階に戻る形につくられていた。館内の写真撮影は一部の場所を除いて禁止。駐車場はひろい。 一回りした後、一時間以上時間があったので自由行動、先ほど急いでみた場所に戻ったり、特別展示場で開催されているカナダのロイヤルティレル古生物博物館の展示をみたり、土産物売り場に寄ったりした。最後に博物館の濱田隆士館長の話を30分聞くことができた。内容は静岡県で自然史博物館を建設するならば旧来とは違った新しい発想で(例えば公的サービス、広報部と事業部、他の博物館・研究施設との連携)作ってほしいということだった。 最後に学芸員の研究室を見学し17時すぎ博物館を出発、峠を越え18時すぎ宿泊地石川県の白峰村の白山セミナーハウス・望岳苑に到着した。夕食の後、ここの支配人で村の職員、白峰村の恐竜発掘に熱心にとりくんでいる山口さんから、村での恐竜発掘の様子、化石などについてスライドを使って説明していただいた。人口が少なく財政的にも厳しい白峰村で恐竜化石の発掘、保存、研究を続ける苦労、たいへんさを知ることができた。その後は参加者で歓談したり、空気の澄んだ夜空の天体観測をした人もいた。 展示の一部がこわれたままであったり、福井県立恐竜博物館と比較してしまうためか少し寂しい気になった。地層が続いているのに行政は分かれている。将来白峰村からでる化石はどうなるだろう。勝山市との連携をしっかりとり有意義にいかしてほしいと思った。恐竜パークを11時半ごろ出発、再び南條パーキングエリアで昼食。17時半ごろ予定より早く静岡駅南口に着き、今回の見学会は終了した。2日間、車の運転を担当した柴、三宅さんご苦労様でした。 |