口 絵
あらわれては消えてゆく地質の記録
自然遺産としての地質露頭

発行:2000/09/01

柴 正博・延原尊美


 造成工事や道路工事では山がけずられて、それまでにない規模で地層や岩石が露出する崖(露頭)が見られます。その露頭では地層のようすや含まれる化石・火山灰層などから、地質学的に重要な発見が得られることがあります。しかし、工事終了後にこれらの露頭はなくなってしまうか、護壁工事が行われて、これらの露頭の地質を二度と見ることができません。露頭をそのまま残すことは無理でも、露頭の地質情報がきちんと記載され、その地層や化石の試料が採取されて、それらが研究や教育に活用されるよう,地域の自然史活動として組織的に取り組むことも必要なのではないでしょうか。

掛川市上西郷の露頭

掛川市上西郷のクジラの骨化石が発見された露頭(1997年当時の写真)。灰色のシルト質砂の地層の中に暗色の砂の地層がレンズ状にはさまれる。このレンズ状の砂層は浅海から運搬された貝殻や砂が海底の谷を埋めて堆積したと考えられ、クジラ化石はこの砂層から産出した。

掛川市杉谷の露頭

掛川市杉谷の掛川インター東側の造成地の露頭(1999年当時の写真)。A-Bは掛川層群の大日累層と土方累層の境界と考えられる面で、CとDは土方累層の火山灰層。


通信21号の目次へ

 top へもどる

登録日:2001年9月01日