自然観察会報告
朝霧高原の自然

三宅 隆

最終更新日:2007年9月19日



 5月27日、朝霧高原道の駅周辺で自然観察会を実施しました。当日の参加者は、飛び入り参加も含めて何と51名。いままでで最高の参加者数です。この理由としては、会員の大原さんが主宰されている作文教室の生徒とご家族が大勢参加したからです。JR静岡駅南口からの参加者は11名。残りは直接「朝霧高原道の駅」集合です。道の駅は、多くのバイクで混雑していました。天気はよく暑いくらいでしたが、富士山は、黄砂のせいか霞んで見えました。

 始めに、今日の講師(昆虫 高橋、諏訪、清。植物 杉野、湯浅。野鳥 三宅)の紹介をし、大勢のため,3班(昆虫班、野鳥班、植物班)に分けて出発しました。子供たちの殆どは、捕虫網を持って昆虫班へ参加。午前中道の駅の道路の反対側を散策しました。

 野鳥グループは、随分と歩き回りましたが、なかなかじっくり野鳥を見ることが出来ず、カッコウ、オオヨシキリ、コヨシキリなどの声がするだけです。県内では朝霧でしか見られない、今回の主役のノビタキは結局確認されませんでした。アカモズも個体数は激減しているようで、アカモズの姿を求めて多くのカメラマンが集まっていました。結局見たり聞いたりした野鳥の種類数は20種類あまり。なんとなく物足りない探鳥会でした。

 昆虫グループは、虫取りに夢中。でもあまりチョウの数も多くなく、ウスバシロチョウやベニシジミなど。しかしツマキチョウには皆感激していました。

 植物グループは、やはりどちらかというと年配の方の参加が多く、ゆっくりと歩きながら、観察していました。丁度植物の端境期のため、あまり多くの植物は見られなかったようですが、フジサンシキウツギ、カナウツギなどの特有の植物や、レンゲツツジがきれいに咲いていました。しかし、牧草地化されているため、昔の草原の面影は、どんどん薄れているようです。

 午後は、昼食の後、別な場所での観察会をしました。小さな湿地で、モリアオガエルの卵塊を見つけたり、昆虫採集をしたりと、子供たちはそれなりに楽しんでいるようでした。

 それにしても、朝霧高原の環境は、ずいぶんと変わってきています。カシワの木が点在する平原は減っており、檜の植林や農耕地が増え、高原性の野鳥や昆虫の住処がどんどんなくなっているようでした。野焼きによる植生の維持もなくなり、放置されたススキが目立ちます。特に、これら人手の入った管理された草原に依存してきたチョウの減少は顕著なようで、自然の環境保護の難しさを痛感しました。

 今回多くの方々の参加で、賑やかな観察会ができました。これからもよりよい観察会を実施していきたいと思っています。

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登録日:2007年9月19日


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