静岡県の三角点(5)
富士山周辺の一等三角点

輿石 邦昭

最終更新日:2007年9月20日



 日本で最も高い標高の三角点は、二等三角点ではあるが、富士山(3776m)である。この富士山を取り巻くように6つの一等三角点がある。それらは山梨県の黒岳(1793m)と御正体山(1682m)、神奈川県の神山(1438m)、静岡県の毛無山(1946m)と愛鷹山(1187m)、羽鮒山(321m)である(図1)。ここでは静岡県内の3つの一等三角点について述べる。

1)毛無山は富士山の西麓、天守山地の最高峰で、第三紀中新世の火成岩と泥岩とからなる海成層が隆起して形成された。毛無山へは国道139号線を北上し、朝霧高原グリンパーク入口を左折、さらに約2 km先の丁字路を左折すると、その先400mが登山口で、そこから徒歩10分ほどで地藏峠方面との分岐点に至る。ここからは、1000mの登りとなり、縦走路に至るまでの間に1〜9合目の各標識がある。自然林の山道が続き、2合目の先の見晴台からは不動の滝が遠望でき、秋の滝周辺の紅葉は素晴らしい。9合目から5分ほどで縦走路に至り、10分ほどで一等三角点の山頂に出る。山頂からは荒々しい大沢崩れの刻まれた富士山を眺望できる。登山口から山頂までは徒歩約3時間の行程である。毛無山の最高地(1964m)は山頂から東北東約600mの地点で、最高地を示す標識はないが、お花畑が広がっている。

2)愛鷹山は富士山の東南東、更新世の成層火山である愛鷹連峰の南端に位置する、連峰の最高峰は北端の越前岳(1504m)である。愛鷹山へは国道1号線のバイパス、中里西交差点から須津渓谷方面へ8kmほどで大棚の滝入口にでる。そこからさらに1.8 km先の沢山橋を渡ると登山口である。第一展望台の指道標に従って須津川の左岸を下ると杉の植林に囲まれた急登が始まり、やがて檜の植林となり、徒歩1時間ほどで神谷分岐点の尾根にでる。さらに1時間ほどヤマツツジの密生する自然林の尾根をたどると、やがてブナ林となり、袴越岳(はかまごしだけ、1248m)に着く。ここから右方へ25分、見事なブナの原生林からなる馬場平に至り、さらに100mほど下って上り返せば、35分ほどで愛鷹山の山頂に着く。山頂は小広場となっており、そのほぼ中央に標石が埋設されている。近くに愛鷹明神奥宮があり、山頂の北側は切り開かれているので富士山がよく見える。

3)羽鮒山は富士宮市の西方に広がる古富士泥流からなる羽鮒丘陵南肩の最高点である。ここへはJR身延線、沼久保駅から県道25号線を芝川駅方面に約900m進み、古田バス停を右折して500mほど先の羽鮒山展望台入口の案内板を右折すると林道羽鮒山線に入る。さらに1.5 km先の羽鮒山展望台入口から約400m行けば登り口である。ここまでは車で行ける。ここから未舗装道を行くとテレビの中継電波塔があり、その鉄柵手前6mの藪の中に羽鮒村一等三角点標石が埋設されている。ここは全く展望がきかないので、羽鮒山展望台まで約10分足を延ばしたい。そこからは北東に富士山が、東方に愛鷹連峰が見える。愛鷹火山や富士山の前々身である小御岳火山、さらに後方の箱根火山がそれぞれ噴煙をあげている約30万年前の情景を思い描くと面白い。羽鮒丘陵にはギフチョウは見られなくなったようであるが、多くの蝶や昆虫などが生息している。帰路、芝川駅南東700mの富原橋から富士川左岸に降り立ち、100mほど下った崖に露出している芝川溶岩の柱状節理や芝川駅北6.5 kmの柚野橋で芝川の急流と礫が穿った芝川溶岩のポットホールなどを観察することができる。


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登録日:2007年9月20日


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