施設見学と自然観察会報告
山梨県環境研究所と環境省生物多様性センター

横山 謙二

最終更新日:2007年9月20日



 夏休み最後の日曜の8月28日に、山梨県環境研究所と環境省生物多様性センターの見学会を実施しました。参加者は、20名です。

 まず、環境省生物多様センターを見学しました。生物多様センターでは、環境庁の施設として、日本の自然や生物多様性についての研究や教育活動を行っています。また、『生物多様性情報システム』として、自然環境保全基礎調査の成果や日本の自然環境、生物多様性に関する情報をインターネットにより情報提供しています。

 建物は、一般の方が利用できる図書資料閲覧室と展示室、また別棟の標本室と研究室からなっています。今回は、残念ながら標本室や研究施設を見ることができませんでしたが、標本室は3重ものガードがあり、湿度・温度がしっかり管理されているそうです。展示室は標本がまったくなく、パネルや映像の展示物ばかりで、つまりませんでした。むしろロービーにある、手作りの展示物や実物標本のほうが面白かったです。

 次に、富士山五合目奥庭に向かい、動植物の自然観察を行いました。夏休みの最後の日曜日でしたので、シャトルバスは行楽客で混み合っていましたが、幸い天気がよく、間近で見る富士山がきれいでした。さて、自然観察のほうですが、地質屋の自分は植物・昆虫・鳥がまったくわからないので、勉強するつもりで写真をいっぱい撮ってきました。その結果、昆虫ではアカタテハチョウ、ヒメアカタテハチョウ、植物ではヤマハハコ、コケモモ、カラマツ、コメツガ、アキノキリンソウなどの写真が撮れました。鳥は、動きが早く、望遠レンズがないので満足な写真が撮れませんでしたが、なんとかルリビタキらしい鳥の写真がとれました。

 奥庭で自然観察を終え、山小屋でまずいキノコそばを食べた後、山梨県環境研究所に向かいました。

 山梨県環境研究所では、総務課の教育スタッフの副主幹、中澤 修さんに、説明をしていただきました。山梨県環境研究所は、自然と人の生活とが調和した地域の実現の支援と環境に配慮した日常生活の実践や環境保全活動の支援を目的とした施設です。

 スタッフの人数は、研究部で18名、総務課(総務、環境教育・情報担当)で8名です。研究部は、地域環境政策研究部(緑地計画学、環境資源・環境計画学、人類生態学)、環境健康研究部(環境生理学、生気象学、環境生化学)、自然環境研究部(地球科学、植物生態学、動物生態学)からなります。施設内は、研究施設と環境教育施設に分かれています。環境教育施設は、環境学習室・研修室・生態観察園・自然観察路・環境情報センター・ホール・談話室・デッキ広場など充実した施設があります。環境教育活動は、施設内の展示や環境情報センターのほかに、学習プログラム『環境教室』を実施しています。

 最後に、今回の見学会の感想を述べたいと思います。まず、展示物ですが、両館ともに、標本の展示が少なくメンテナンスがかかる最新の機械による展示が主体であることが気になりました。映像や写真は、インターネットでいつでも見られる世の中になってきている中で、わざわざここまで来て標本がみられず、映像・写真を見て帰るのもつまらないと感じました。また、最近の博物館によくある野外展示ですが、自然豊かなこの地域においては、自然観察路などは、むしろ不自然な感じがしました。静岡県で自然史博物館を作るときは、標本が見られなく、場違いな自然をつくる不自然史博物館は作ってほしくないと感じました。

 今回の見学会では、自然環境関係の研究・教育施設を見学しましたが、皮肉なことに、展示物を見て覚えた動植物の名前はありませんが、奥庭の自然観察では多くの動植物の名前を覚えることができました。やはり自然を学ぶのに、自然にかなうものはありませんね。

見学会関連ホームページ
生物多様センター ホームページ
 http://www.biodic.go.jp/
生物多様性情報システム
 http://www.biodic.go.jp/J-IBIS
環境省インターネット自然研究所
 http://www.sizenken.biodic.go.jp/
山梨県環境科学研究所
 http://www.yies.pref.yamanashi.jp

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登録日:2007年9月20日


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