ミニ博物館2005開催の報告

横山謙二・延原尊美

最終更新日:2007年9月20日


 平成17年8月20日から8月26日にかけての7日間、静岡市清水区辻の健康福祉センター 庵原分庁舎にて「ミニ博物館 静岡の自然」を開催しました。展示内容は、レッドデータブックの動植物や化石・岩石を中心に、パネル展示や標本、実物標本の展示を行いました。また、化石発掘コーナーや立体模型作りなど子供たちが、体験し学べるようなものを用意しました。

 まず、大地のおいたちコーナーでは、河原の石、掛川の地質と化石、フィギュアでわかる脊椎動物の進化、ナウマンゾウの発掘、富士山の熔岩などを展示しました。中でも好評だったのは、フィギュアでわかる脊椎動物の進化でした。また、静岡県でナウマンゾウの化石が産出していることに驚く人たちが多くいました。

 レッドデータブックのコーナーでは、パネル展示を中心に、昆虫やねずみ、モグラの標本展示、レッドデータ種の植物標本14種や生きている魚類やカタツムリなどの展示をしました。中でも、アユカケやヤリタナゴなどの生きている魚の展示には、子供たちが興味深く観察しているのが見られました。また、静岡県の絶滅しそうなチョウや植物の展示も関心をもって見学される方が多くいました。

 体験コーナーでは、化石発掘コーナーが好評でした。また、プラスチックのお弁当箱のふたを利用した富士山の立体模型作りでは、手軽で簡単に作成できる立体模型を夏休みの宿題として利用する子供たちが多くいました。
また、ミニ博開催期間中の8月20日には「袋井ー掛川化石採集会」を、22日には「興津川の自然観察会」を行いました。

 

 8月20日(土)の袋井ー掛川化石採集会は50名を越える応募があり、バス定員の都合から40名にて締め切らせて頂きました。参加者は39名で、内訳は一般参加者数大人15名、中学生1名、小学生15名、未就学児2名、引率が袋井市教育委員会1名、延原、静岡大学生3名、東海大学学生と院生2名でした。

 今回は単に化石を採集するだけでなく、化石採集の際に気をつけていただきたいことをイラストにしたクイズや、「生痕化石発見コンテスト」を行い、入賞者5名に化石標本を賞として出しました。親子参加のみなさまを中心に大いに盛り上がり、化石採集の心構えや地層観察そのものについても深く理解と興味をもっていただけたと思います。袋井市教育委員会のみなさまには、バスの手配・運行や企画運営に関して多くのご協力をいただきました。ここに感謝いたします。

 22日の興津川の自然観察会は、月曜日ということもあり、参加者が2家族6名と少なかったですが、講師陣は野鳥が三宅さん、蝶が清さん、植物が湯浅さん、淡水生物が大貫さんととても充実していました。観察会は、黒川のやすらぎの森で行い、ビオトープも利用しました。魚はもちろん昆虫や、蛇やカエルなども出現し、楽しい一日でした。

 今回のミニ博物館は、保存事業室の開所が遅れ、事前の広報活動が十分にできなかったことなどから、開催期間中の来館者は130名ほどと昨年三島での同様の企画よりも少ない結果になりました。しかし、夏休みの宿題や自由研究のため、何度も足を運んでくれた小学生や化石発掘体験コーナーを熱心にとりくむ子供たちがいました。また、展示物を一部かりたいという公民館の方々や近くで化石採集や地層の見学会を催してもらいたいという教師や静岡市教育委員会の方などもきてくださいました。それと、県の企画部の方も来館され、資料保存も含め熱心に見学して行かれました。

 ミニ博物館の開催前と開催中に、このミニ博物館は静岡新聞に取り上げられたり、22日にはSBSのニュースで取材放映されたり、26日にはFM清水でインタビューがありました。このように、ミニ博物館に対するマスコミの関心は高く、事前の広報が十分であれば多くの方に来ていただける可能性もあると思います。また、来館された方からは、このミニ博物館の展示や企画を学校や公民館などへの移動博物館として利用したいという要望もありました。
以上のような今回の経験を、次回のミニ博物館に生かし、より多くの方々に我々の活動を理解していただき、自然史博物館の必要性をうったえていきたいと思います。

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登録日:2007年9月20日


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